Background背景 サハラ以南アフリカの 都市周縁地域の劣悪な水・衛生環境飲料水、サニテーション(トイレとし尿の始末)および衛生習慣(手洗いなど)は水・衛生(WASH) と呼ばれ、人の健康を守る多重のバリアを形成するとともに、人間の基本的ニーズでもある。しかし、サハラ以南アフリカではそれぞれ4.1 億人、7.6 億人、 9.0 億人が基本的な水・衛生を利用できていない。人びとの健康に与える深刻な影響下痢は5歳未満時死亡要因の第5位であり、その58%は水・ 衛生の不備による。都市周縁に広がる低所得居住区では、人口が増加する一方で水・衛生インフラの整備が遅れ、特にザンビア・ルサカの周縁地域ではコレラのアウトブレイクが散発する。 Our focus着眼点 問題は水道インフラの整備だけではない 地域の人々の多くは屋外の共有水栓で水をバケツに汲み、それを家で貯留して使う。水栓で得られた水がたとえ清浄であっても、家の貯留水は生活環境中に拡散する糞便で汚染されており、人々は安全な水を飲むことができない。汚染された生活環境は、多様 な経路での糞便の人への曝露を引き起こす。生活環境の改善が不可欠だが、日常のニーズの中での優先順位は高くない。現実的には、人々はスマホを持っていても衛生的なトイレを持っていない。 Our approach解決へのアプローチ 「教わる」のではなく「実感する」 自分の生活環境から自らサンプルを取り、自らの目で細菌を目にすれば、汚染と下痢のリスクを実感できる。 下痢リスクと感染経路をアプリを使って可視化できれば、地域特有の水・衛生改善のアクションプランを自らデザインできる。 人々が集めた汚染とリスクのビッグデータは、適切なエラー 処理をすれば都市周縁の水・衛生統計となる。 Overall goal上位目標 水・衛生を改善し,下痢やコレラのアウトブレークを予防する 水・衛生統計に基づく効果的な政策立案を実現する Project objectives研究目的 アプリを用いた参加型大腸菌調査と下痢リスク可視化に基づき水・衛生アクションプランを住民自らデザインする方法論の開発 住民参加型大腸菌データを利用した水・衛生の質に関するデータベースの創出 Research Themes研究テーマ 腸管病原性微生物の一斉定量アッセイの開発と地域の下痢リスク構造の解明01 水・衛生の改善対策による下痢リスク低減効果の推計02 水・衛生アクションプランの実践のための地域社会関係の構築03 アプリを用いたリスクに基づく参加型水・衛生計画策定法の開発04 参加型大腸菌データを補正しデータベース化するためのアルゴリズムの開発05 Social implementation of the methodology 地域コミュニティーへの適用と実証 下痢リスクを効果的に軽減 ルサカ周縁のパイロット地区での開発した方法論の適用 開発した方法論の評価と妥当性検証 効果的な利用のためのガイドラインの作成とワークショップの開催